今回のゼミブログでは、5月23日に行われたゲスト講義について報告します。今回はテレビ朝日の松井英光さんとZoomでつなぎ、講義をしていただきました。
松井英光さんはテレビマンでありながらテレビ研究で博士号を取得された、異色の経歴をお持ちの方です。これまで「タモリ俱楽部」や「たけしのTVタックル」、「オードリーのカスカスTV」など多くの番組に携わってこられました。実際にテレビの現場で長年働いているからこそ語れる貴重なお話を聞かせていただきました。最初はテレビ局の方と聞いて、少し緊張していましたがとても気さくな方で、講義の最後には私たちの質問にひとつひとつ丁寧に答えてくださりました。
松井さんが講義の中で話してくださった主なテーマは、①テレビ組織の変換②テレビの現状③テレビの進むべき道でした。なかでも私が特に印象に残っているのは「制作独立型」から「編成主導型」へと変化したテレビ局の組織モデルの変換についてのお話です。今までメディアについて考える時、送り手と受け手という2つの視点からしか捉えていませんでしたが、送り手と作り手を分けて考えることでよりテレビの構造が見えてくることが分かりました。ここでいう「送り手」は編成、「作り手」は制作にあたります。テレビ局としてひとまとめに捉えるのではなく、その内部の構造を細かく分析することで新しい見方が生まれると感じました。
講義の最後には松井さんが考えるこれからテレビが目指すべき最適な組織モデルについても話していただきました。お話を聞いてインターネットを中心とする情報社会になってもテレビが生き残っていく道はあるかもしれないと思いました。短い授業の時間で話していただくには時間が足りないほど濃い内容でした。これからメディアを研究していく上で多様な視点を持って考えることはとても大切だと学ぶことができました。(岸本)